春・夏の星座と神話
       
春の代表的な星座
夏の代表的な星座
かに座   しし座   おおぐま座    からす座

   うしかい座    おとめ座
こぐま座  かんむり座  こと座  はくちょう座  

わし座  てんびん座   さそり座   いて座
       

このような星空が見えるのは

5月中旬0時ごろ/6月中旬22時ごろ/7月中旬20時ごろ

各星座のデータ欄は、@学名(略名)、A20時に南中(正中)する時期、B含まれる一等星(ない場合は「−」) の順。
 

か に 座 し  し  座
@ Cancer(Cnc)   A 3月下旬   B − @ Leo(Leo)  A 4月下旬  B レグルス(+1.36等)

ゼウスの不倫の息子、勇者ヘルクレスが、
ゼウスの妻である女神ヘラのたくらみによって与えられた
数々の苦難の一つ、
九つの頭をもつ怪獣ヒドラと戦っている最中、
ヒドラに助太刀せんとして沼の中から現れた化け蟹。

 ヘルクレスの足をはさもうとしたが、一瞬にして踏みつぶされてしまう。
そのけなげな姿をあわれに思った女神ヘラにより星座に上げられた。

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英雄ヘラクレスが命じられた危険な冒険の最初が、
人食いライオンの退治。

弓も刀もはねかえす不死身のライオン。
ヘルクレスは、その首を力の限りしめあげる。

怪力の前についに息絶える大獅子。
ヘルクレスを苦しめた功により、女神ヘラが星座にあげた。

春の夜空には、ヘルクレスを苦しめた、
「しし」「かに」「うみへび」の悪役トリオが寄り添っている。

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お お ぐ ま 座 か ら す 座
@ Ursa Major(UMa)  A 5月上旬  B − @ Corvus(Crv)  A 5月下旬  B −

カリストは、月と狩りの女神アルテミスに仕える美しい妖精。
大神ゼウス(アルテミスの父)の寵愛を受け息子アルカスを授かる。

これを知ったアルテミスに呪いをかけられたカリストは、
熊に姿を変えられ、森の奥深くへと逃げ込んだ。

15年後、狩りに来た我が子の姿を見たカリストが走り寄ると、
アルカスは、母とは知らずに熊めがけて弓を引こうとする。  

その親子の姿をあわれんだゼウスが二人を天に上げ、
大熊・小熊として星座とした。

ゼウスの妃ヘラは、この親子を快く思わず、
この二星座は沈んで休むことなく、一晩中空を回り続けるようにした。

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音楽の神アポロンの使いをしていたからすの姿。

怠け者で、道草のいいわけに大嘘をついたことから、
罰として天空にはりつけにされた。

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う し か い 座 お  と  め  座
@ Bootes(Boo)  A 6月下旬  B アルクトゥールス(−0.05等) @ Virgo(Vir)  A 6月上旬  B スピカ(+0.98等)

ヘルクレスは、王の命令で黄金のリンゴをとりに出かけることに。
そのためには、リンゴの木を守る姉妹の父、アトラスに頼むにしかず。

アトラスは重い天をかつぐ仕事をしていたが、
ヘルクレスが肩代わりしてくれると聞き大喜びでリンゴをとりに出かける。

リンゴを手にして戻ったアトラスは、「私が王の元へ届けよう」と申し出るが、
ヘルクレスは「肩当てをとってくるからちょっと代わってほしい」と言い残し、
リンゴを持ってその場を立ち去る。

人のいいアトラスは再び重い天をかつぐことになったとさ。

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ゼウスの妹で農業の女神デメテルの姿。
デメテルの娘ペルセポネは、ある日花摘みの最中に、
冥土の王プルトーンにさらわれてしまう。 

悲しんだデメテルはほら穴にこもってしまい、
大地には春が来ず、一年中冬枯れとなる。

ゼウスが見かねてプルトーンを説き伏せ、ペルセポネを返すことに。
冥界の食べ物を口にしていないペルセポネは地上に戻ることができ、

喜んだデメテルがほら穴から出たとたん、
地には春が訪れ、収穫の喜びにわいた。

ところが、ペルセポネは、冥界から抜け出る直前に、
プルトーンが差しだしたザクロを四粒だけ口にしていた。

ザクロ四粒の分である、一年のうち四ヶ月間、
ペルセポネは冥界で暮らさなければならず、
その間大地には冬が訪れることとなる。

(「てんびん」の項も参照)


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こ  ぐ  ま  座 か ん む り 座
@ Ursa Minor(UMi)  A 7月中旬  B − @ Corona Borealis(CrB)  A 7月中旬  B −

カリストは、月と狩りの女神アルテミスに仕える美しい妖精。

あらぬことか、大神ゼウス(アルテミスの父)の寵愛を受け、
息子アルカスを授かる。

これを知ったアルテミスに呪いをかけられたカリストは、
熊に姿を変えられ、森の奥深くへと逃げ込んだ。

15年後、狩りに来た我が子アルカスの姿を見たカリストが走り寄ると、
アルカスは、自分の母とは知らず、
襲ってくる熊めがけて弓を引こうとする。  

その親子の姿をあわれんだゼウスが二人を天に上げ、
大熊・小熊として星座とした。

ゼウスの妃ヘラは、この親子を快く思わず、
この二星座は沈んで休むことなく、一晩中空を回り続けるようにした。

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酒の神ディオニュッソスが、
結婚式の日に妃であるアリアドネに贈ったかんむりの姿。

妃の死後、永遠の愛の証に星座にしたもの。

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 こ  と  座 は く ち ょ う 座
@ Lyra(Lyr)  A 8月下旬  B ヴェガ(+0.03等) @ Cygnus(Cyg)  A 9月下旬  B デネブ(+1.25等)

音楽の名手オルフェウスの妻、妖精のエウリディケは、
ある日毒蛇にかまれて命を落とす。
妻を生き返らせたいと願ったオルフェウスは冥界に向かう。

渡し守も、番犬も、悲しみに満ちたオルフェウスの琴の音に感じ入り、
黙って通してやった。
冥王プルトーンさえも心を打たれ、エウリディケを返すことにした。
ただし、地に出るまで妻の姿を見てはならぬと言い渡して。 

オルフェウスは、あと一歩で地上に出るところで、
うれしさのあまり振り向いてしまう。
エウリディケは、かき消えるように再び冥界に連れ戻されてしまう。

引き返したオルフェウスだったが、
その琴の音に誰も耳を傾けようとはしない。
オルフェウスは悲しみにくれ、山野をさまよい歩き、
ある日、酔っぱらいにからまれ非業の死を遂げる。

あわれんだゼウスが、その琴を天に上げて星座とした。
静かな夜には、オルフェウスの琴が奏でる悲しい旋律が、
かすかに聞こえてくる。

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ゼウスは、ギリシャの都市国家スパルタの王妃レダを見初め、
白鳥に変身して会いに出かける。

鷲に追われるあわれな姿を演じながら、
レダの膝元に逃げ込むゼウス。

レダは後に二つの卵を産み、そのうちの一つからは、
カストルとポルックスという、双子の英雄が生まれることとなる。

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わ   し   座 て ん び ん 座
@ Aquila(Aql)  A  9月中旬  B アルタイル(+0.76等) @ Libra(Lib)  A 7月上旬  B −

トロイに住む美少年ガニュメデス。
これに目をつけたゼウスは、神々の酒宴での小姓役にしたいと思い、

大鷲に姿を変え、羊の群れを追うガニュメデスをさらい連れ去った。

ゼウスは、ガニュメデスに永遠の若さと美しさを与えることを約束して、
小姓役を承知させた。

(「みずがめ」の項も参照)

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世の中が黄金の時代。食物が満ち、平和が広がっていた。

銀の時代。
季節ができ、人は自ら食料を作らなければならず、盗人が現れる。
その姿を見て、神々はあきれて、次々と天に帰ってしまう。
正義の女神アストレアだけを残して。

銅の時代。
人は武器を持ち戦争を始める。
アストレアもついに愛想を尽かし、天にのぼっておとめ座となった。
「黄金の時代が戻るまでは二度と帰ってきません」と言い残して。
アストレアのもつ、善悪をはかる天秤が、その隣で星座になった。

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さ  そ  り  座 い  て  座
@ Scorpius(Sco)  A 7月下旬  B アンタレス(+1.06等) @ Sagittarius(Sgr)  A 9月上旬  B −

力自慢の狩人オリオン。
「どんな獣も俺にはかなわない」が口癖。

その行動が日頃から気に入らない、
ゼウスの妃ヘラが、一匹のさそりを放つ。
さすがのオリオンも、その猛毒にあえなく命を落とす。

星座になったオリオンは、さそりが怖くて、
さそり座が出てくる頃には西に沈み、その姿をさそりに見せることはない。

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上半身が人間、下半身が馬という姿をしたケイローンは、
神々に教わって数々の知識や技術を身につけ、 立派な教師となる。
その教育を受けた若者たちの多くが、後に大活躍。

ある日、勇者ヘルクレスに追われた、
乱暴者ぞろいの馬人たちがケイローンのもとに逃げ集まる。
その時、ヘラクレスの放った矢がケイローンに突き刺さる。

ケイローンは不死身の体をもっていたが、あまりの痛みのため、
不死の身を人に譲ってみずからは死を選んだ。

その死を惜しんだ大神ゼウスは、
ケイローンを天に上げ星座としてその功をたたえた。

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